蔵光ヴィンテージ(2017BY)&チーズ 日本酒とチーズは相思相愛の関係
蔵光ヴィンテージ(2017BY)
日本酒とチーズは相思相愛の関係
JSA認定ソムリエ /
C.P.A.認定チーズプロフェッショナル
アサノノリエ
JSA認定ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナルとして幅広く活躍し、日本酒とチーズのマリアージュを伝えるアサノノリエ氏。『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』とベストマッチするチーズを教えてくれました。
日本酒とチーズ。どちらも「発酵」によって生まれる食べ物です。なので、もちろん相性はよいですし、それはとても自然なこと。日本酒に様々な種類があるように、チーズにもたくさんの種類がありますし、価格も高価なものから気軽に購入できるものまで多種多様です。
特に生もと造りや山廃仕込みの日本酒は乳酸菌を使いますし、チーズとの相性がよいといわれています。チーズはそのままではもちろん、少し手を加えるだけでもさらに違った味わいを楽しめます。日本酒がお好きな方には、ぜひとも冷蔵庫にチーズを常備していただきたいです。チーズとともに味わうことで、新しい発見があると思います。
『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』の味わい、魅力とは?
「眠りの森の美女」という形容がよく似合う
一般的な同じヴィンテージの日本酒と比較すると色が付いておらず、いい意味での若々しさを感じるお酒です。それは23%という高い精米歩合まで磨きあげ、余分なものをそぎ落とした酒米を使用しているからにほかなりません。そして、温度管理された低温貯蔵庫でじっくりと栓が開けられる時を待っていたことを感じます。
言うなれば『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』は眠りの森の美女。丁寧に醸され、静かに時を重ねて、満ちてゆく美しさ―― そんな例えがとてもよく似合うお酒だと思います。
年代もの特有の強い香りではなく、とても穏やかな香りで上品な印象を受けました。気品がありこなれた印象で、新潟の特産品であるルレクチエを思わせます。ほかにもマスカットやハーブ、青草を連想させる香りも特徴といえます。
『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』は口当たりは非常にスムーズで舌触りはなめらか。軽快でやわらかくほのかな甘みがありますが、それが前面に出ることはなく後半はミネラル感を感じさせながらドライフィニッシュ。 磨き上げたお米で醸しているからこその澄んだ甘みがありますし、長い熟成期間を経てまとまりのある味に仕上がっているのだと思います。
チーズと日本酒のペアリングを試してほしい
チーズも日本酒と同じく、口にしやすいものもあればクセの強いものもある。なので、いろんな組み合わせを試すこと自体を楽しんでいただきたいです。
私がセレクトしたのはシェーブルチーズとラクレットチーズという2種類のチーズ。
シェーブルとはフランス語で山羊のこと。山羊乳製チーズはフランスではロワール地方が有名な産地で、現地ではハーブのような爽やかな白ワインのソーヴィニヨンブランを合わせるのが定番です。
独特の風味は、乳に多く含まれるカプロン酸をはじめとした脂肪酸によるもので、ラテン語で山羊を意味するcapra(カプラ)に由来。吟醸香であるカプロン酸エチルと相性がいいとよく言われますし、独特の酸味と『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』の持つ爽やかさがとてもよく合うと思います。
ラクレットチーズはスイス発祥。「ラクレ(racler)=削る」の語源通り、大きな塊の切り口を温めて溶かし、削り取ってじゃがいもやパンにかけて食べるチーズです。塩水で表皮を拭きながら熟成させるため皮に独特な香りがありますが、中身は比較的食べやすくまろやかで加熱したほうが食べやすくなります。優しいミルクの甘味とコクが『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』のやわらかな熟成感を引き立てます。
チーズをアレンジして作る日本酒のおつまみ
少し手間をかけるだけで新しい発見がある
シェーブルチーズ「クロタン」× 酒粕ハニーディップ
今回ご用意したシェーブルチーズ「クロタン」は熟成具合がちょうどよく、『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』の熟成度合ともバランスがよいのでそのままでもおいしいのですが、さらにおいしく味わえるのが酒粕とハチミツを1:2くらいの割合で混ぜ合わせて作る「酒粕ハニー」です。
これをシェーブルチーズに添えると、山羊乳の独特なクセや酸がまろやかになり、食べやすくなりますし、チーズとヴィンテージ日本酒との繋ぎになってくれます。
日頃食べないチーズのひとつのシェーブルチーズ。「クロタン」は専門店で購入できます。『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』どちらも非日常感と特別感があるという点が共通していますのでとっておきの日にあじわいたいですね。
フレッシュシェーブルチーズサラダ
シェーブルチーズはサラダに乗せるのも定番。こんなフレッシュタイプであれば、砕いてサラダにトッピング。仕上げのエクストラバージン・オリーブオイルとハーブ塩をどうぞ。『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』とシェーブルチーズのアクセントになります。
とろ~りラクレットチーズ
ラクレットチーズはグリルで焼いて、お好みの野菜やピクルス、シャルキュトリと一緒に。コクを感じさせる濃厚な香りと、とろ~りなめらかな食感。豊かな旨みが日本酒の旨みと同調するのです。
日本酒とチーズをおいしく楽しむうえで大事なのは「このお酒には、このチーズ!」と決めてしまわないことです。いろんなチーズを用意してみて、どれがおいしい組み合わせかを試しながら味わっていただきたいのです。そんな時間こそが楽しく幸せな時間ですし、『蔵光ヴィンテージ(2017BY)』がよく似合うシーンなのだと思います。
JSA認定ソムリエ、
C.P.A.認定チーズプロフェッショナル
アサノノリエNorie Asano
日本酒、ワイン、クラフトビールから地域の工芸品まで、メイド・イン・ジャパンのものづくりを応援するにほんのもの応援社 和altz(わるつ)主宰。JSA認定ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、チーズ検定講師など多数の資格を持つ。ソムリエの経験をいかし、お酒の香りからインスピレーションを湧かせ、合わせる料理や食材を考案する。